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2006.02.15

人間にリセットボタンはないんだ、的な。

 ズル休みの口実に、忌引を駆使する人がいる。

 「母方の伯父が亡くなりまして…」とか、「親戚の法事で…」とか何とかね。

                                             

 お友だちのウエケン(医学部生)もそういった一人だ。

 去年彼を含めた仲間数名で、座間味島(沖縄県)でキャンプしてたら折悪しく

台風襲来、フェリー欠航となり、全員予定日に帰れなくなってしまった。しかも

その翌日ウエケンは、留年をかけた試験日。必死でゼミの仲間に電話をかけ、

 「帰れなくなったから、座間味島の親戚の法事に参加してたって教授には

 説明しといてな!」と頼み込んでいた。

 で、なんとかめどがついたらしく、電話を切り振り返ったウエケンは明るい

笑顔で、

 「…もう何人殺したか分からないぜ!」

 と言った。この、表情とコトバの果てしないギャップに、僕も戦慄したものだ。

                            

 しかし、こんなこと続けていたら、いつしか破綻が訪れるのは目に見えてる。

例えばすごく粘着質な教師だか上司だかいて、その人を中心とした家系図

まで作成していないとも限らない。「おや、君の四親等内に、もはや生存者は

確認できないぞ…」などと勝ち誇り顔で指摘されたらどうしようもない。

 そこで僕は、ひとつ妙案を思いついた。

 ズル休みの為に殺していった親戚を、今度は生き返らせていけばいいのだ。

 つまり、

 「おい佐藤、昨日はなんで休んだんだ?また誰か死んだのかー?んー?」

 「違いますよ先生!…実は、死んだと思っていた母方の祖母が、見事

 生き返りまして!」

 「マジで!?」

 「ていうかむしろ、黄泉がえりまして!」

 「…いや、そういうの、いらないから!ホントか佐藤?」

 「奇跡ってあるんですね先生!」

 「ああ、そんな事情じゃ…休んだのもしょうが…ない、な」

 と、インパクトでうやむやにすることが可能である。

  

 あとは、

 「おい佐藤、昨日はなんで休んだんだ?また誰か死んだのかー?んー?」

 「そうなんです先生…実は…浜松の叔父が…」

 「浜松の叔父さんは確かひと月前にお亡くなりになったんじゃないのか?

 そうだったよな佐藤?ん?」

 「…え、ええ、もちろん!…実はあの…実は…たらちねの母が!昨夜!」

 「枕詞かよ!」

 ~終~

   

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